出版事業 DIGS FIELD

関門海峡エリアには、日本遺産を構成する数多くの歴史的建造物が残っています。しかし、ただ見るだけでは、その奥にある歴史やストーリーにはなかなか気づけません。目の前に立っているのに、素通りしてしまう。それは、建物の「読み方」がまだ届けられていないからです。
関門DMOでは、現地で手に取れる出版物を通じて、訪れた人の目に映る風景を変えることに取り組んでいます。

Our Approach

「観光のまなざし」をつくる

映画館にはパンフレットがあり、博物館には展覧会カタログがあります。作品そのものを観るだけでは気づけない背景や意図を、言葉で補うことで体験の質が変わる。この考え方は、観光地にも当てはまるはずです。

観光客が地域をどう見るかは、どんな情報と出会うかによって変わります。DIGS FIELDでは、日本遺産を構成する一つひとつの「素材」に着目し、それぞれの歴史を読み解く楽しさを届ける出版物を制作しています。ガイドブックのように「どこへ行くか」を案内するのではなく、「何を見ているのか」を理解するための本です。

現地で手に取り、読んでから建物の前に立つと、同じ風景がまったく違って見える。旅から帰った後に読み返せば、記憶がさらに深まる。関門DMOが出版事業に取り組むのは、一冊の本が「観光のまなざし」そのものを変える力を持っていると考えているからです。

煉瓦 - Bricks

煉瓦建築は、文明開化の象徴でした。明治期の日本が西洋に追いつこうとする中で、煉瓦は近代国家の意志を形にする建築素材でもありました。横浜や神戸と並ぶ国際貿易港として発展した門司港には、その時代を象徴する煉瓦建築が数多く残っています。しかし、同じ煉瓦の壁に見えても、一棟ごとに素材も積み方も異なります。フランス積み、イギリス積み——その違いには、この港にどの国の技術が届いていたかが記されています。煉瓦の色や質感、刻印の有無にも、産地や製法、時代の変遷が表れています。

本誌では、こうした煉瓦の見どころを写真とともに紹介しながら、一棟ごとの建物が背負う歴史と文化を読み解きます。世界有数の国際港として栄えた時代の面影、総合商社・鈴木商店をはじめとする企業の物語、港湾都市としての栄枯盛衰——ひとつの素材を入口に、門司港の近代史が浮かび上がる一冊です。

媒体名:DIGS FIELD 触れる、感じる、深める — 煉瓦
判型:A5版 全76ページ
発行日:2025年2月
販売価格:1,100円(税込)
発行:一般社団法人海峡都市関門DMO

砂糖 - Sugar

砂糖は、かつて単なる甘味料ではありませんでした。植民地支配、資本主義の形成——世界の歴史を動かした「グローバル・コモディティ(国際商品)」でもあったのです。そして、この国際商品と門司港は深くつながっています。江戸時代、長崎・出島に届いた砂糖は長崎街道を通り、九州北部へと広がりました。この道は「シュガーロード」と呼ばれ、その終点が小倉です。

そのすぐ先に位置する門司港からは、明治以降、台湾との間に「第二のシュガーロード」として海の砂糖の道が拓かれます。台湾で生産された原料糖が門司港に運び込まれ、鈴木商店の大里製糖所をはじめとする工場群が関門海峡一帯に形成されました。砂糖は嗜好品から工業品へと姿を変え、門司港は加工貿易の拠点として発展していきました。

本誌では、砂糖の世界史からシュガーロード、そして門司港と台湾を結んだ「財界のナポレオン」金子直吉と鈴木商店の物語まで、砂糖という一粒の結晶を入口に、この地域の近代史を読み解きます。

媒体名:DIGS FIELD 触れる、感じる、深める — 砂糖
判型:A5版 全78ページ
発行日:2026年6月(予定)
販売価格:1,100円(税込)
発行:一般社団法人海峡都市関門DMO