関門ジビエプロジェクト

シカやイノシシによる農作物への被害は、関門海峡周辺の農村が抱える深刻な課題です。一方で、その捕獲を担う猟師は高齢化が進み、田畑を守る体制の維持が年々難しくなっています。
関門DMOでは、こうした獣害対策と観光を結びつけ、捕獲された鳥獣の命を無駄にしない「関門ジビエ」のブランド化を通じて、地域課題をマイナスからプラスへ転換する取り組みを進めています。

Our Approach

食べる、狩る、知る—関わり方から地域を変える

関門ジビエプロジェクトは、単にジビエ料理を提供する食の事業ではありません。「食べる」「狩る」「知る」の3つの入口を設け、地域との関わり方そのものをデザインしています。ジビエを食べることは、奪われた命を余すことなく活かす行為です。

狩猟の現場を知ることは、農村の暮らしと自然環境のバランスに目を向けることです。そして、なぜ狩猟が必要なのかを農家との交流を通じて学ぶことは、地域が抱える課題を自分の目で理解する第一歩になります。

猟友会や女性ハンター、農家との交流を通じて、訪れる人が地域を「消費する」のではなく「支える」関係をつくる。豊かな自然環境を守りながら、地域の未来を一緒に育てていくことが、このプロジェクトの目指す姿です。

猟友会との関わり

関門ジビエプロジェクトの出発点は、猟友会との連携です。下関東部猟友会をはじめとする地域の猟師たちと協力し、狩猟の現場を知り、そこに関わるためのプログラムを造成しています。「猟友会の同行ツアー」は、田畑が獣害を受けている現実と、それに立ち向かう狩猟の実態を知るための1泊2日のプログラムです。実際の猟場に入り、猟師の講話、罠の見学、狩猟現場の体験、解体見学までを一貫して行います。狩猟免許の取得を目標に据えた実践的な内容で、参加者が「知る」から「関わる」へ踏み出すための入口として設計しました。

また、女性限定の「ハンターガールツアー」では、猟師・木原由紀恵氏のコーディネートのもと、罠猟を中心とした体験や地元農家との交流を通じて、狩猟を暮らしの延長として体感できるプログラムを実施しています。
獣道の散策やジビエを使った食事など、自然と暮らしに触れる内容が好評で、募集開始後すぐに定員に達するほどの反響を得ています。こうしたプログラムを通じて、実際に狩猟免許を取得した参加者や、猟友会の活動に継続的に関わるようになった参加者も生まれています。一度きりの体験で終わらず、地域を支える担い手へとつながる関係づくりが動き始めています。

関門ジビエフェスタ

「狩る」「知る」に続く、もうひとつの入口が「食べる」です。関門DMOでは、門司港レトロエリアの飲食店と連携し、ジビエを身近な食として届ける「関門ジビエフェスタ」を開催しています。関門海峡周辺で捕獲されたシカやイノシシを、地域の飲食店がそれぞれの個性で料理に仕立てる期間限定のフェアです。

観光客にとっては関門の新たな食の魅力との出会いであり、地域にとっては農村の課題と観光エリアをつなぐ仕組みでもあります。フェスタを通じて、ジビエが「特別な食材」ではなく「この地域の食文化」として定着していくことを目指しています。

ジビエを通じた地域交流イベント

関門海峡エリアでも少子高齢化と若年層の流出が進む中、地域への愛着を育む場づくりが重要になっています。関門DMOでは、ジビエという地域の食を媒介に、人と地域をつなぐ交流イベントを開催しています。
巌流島での関門ジビエBBQや、ジビエ鍋と街歩きを組み合わせたプログラムなど、関門海峡エリアならではの食と場所を活かした体験を企画しています。参加者同士の交流だけでなく、地域の食材や歴史的資源に触れることで、この地域への理解と愛着を深める機会となっています。
参加者アンケートでは満足度が80%を超え、地域の食や歴史に触れながら人と出会える体験として高い評価を得ました。ジビエは食材としての魅力にとどまらず、人と地域の新たなつながりを生み出す力を持っている——この取り組みがそのことを示しています。