次世代人材の育成

関門海峡エリアでも若年層の流出は続いています。しかし、この流れを止めることだけが地域の未来を守る方法ではありません。たとえ地域を離れても、関門海峡に愛着を持ち、関わり続けたいと思う人がいる。それ自体が、地域の力になると考えています。
関門DMOでは、観光を入口とした体験型教育を通じて、若い世代が地域を知り、愛着を育む機会づくりに取り組んでいます。

Our Approach

地域を知ることが、誇りになる

自分が暮らすまちに、どんな歴史があり、どんな仕事があり、どんな人がいるのか。意外なほど、地元のことは知らないものです。観光を通じて地域を知ることは、風景や歴史に触れるだけにとどまりません。そこで働く人の姿に出会い、地域を支える産業の存在に気づくことでもあります。

小学生が地元の観光資源を調べてガイドブックをつくる。高校生が地域企業とともに「住み続けたくなるまち」を考える。大学生がDMOの現場で観光地経営を学ぶ。こうした体験の積み重ねが、地域への愛着を育みます。

地域に残る人も、離れる人も、「私の故郷は関門海峡です」と自信を持って言えること。それは将来、関門海峡に戻ってくる理由にも、離れた場所から地域を応援する理由にもなります。地域を知ることが、やがて地域を支える力になる。私たちはそう信じて、産学官の連携による次世代教育に取り組んでいます。

子どもたちがつくる観光ガイドブック

地域の小学生とともに、自分たちのまちの観光ガイドブックを制作するプログラムです。写真撮影、取材、執筆、イラスト、レイアウト——すべての工程を小学生自身が手がけます。指導するのは、地域の第一線で活躍するプロのクリエイターたち。写真の撮り方、イラストの描き方、文章の書き方を、プロから直接学びながら、子どもたち自身がまちを歩き、見て、感じたことを自分の手で形にしていきます。

このプログラムで子どもたちが得るのは、ガイドブックの制作技術だけではありません。絵が得意な子はイラストで、文章が好きな子は取材で、写真が好きな子は撮影で——自分の得意なことがまちの魅力を伝える力になるという実感です。子どもの目で切り取られたまちの姿は、大人にとっても新鮮な発見になります。完成したガイドブックを手にした保護者や地域住民が、子どもの視点を通じて自分たちのまちを見つめ直す。この広がりこそが、プログラムのもうひとつの成果です。

関門海峡エリア
発行年:2023年
制作:小学生 8名

長府エリア
発行年:2024年
制作:下関市立豊浦小学校
学年:4年生

Out of KidZania in 門司港

関門海峡ミュージアム開館20周年を記念し、子ども向け職業体験で知られるキッザニアとの連携イベント「Out of KidZania in 門司港」が開催されました。関門DMOは、地域の事業者と実施体制をつなぐ調整役を担いました。門司港レトロエリアの実際の事業所を舞台に、地域産業のリアルな仕事を体験するプログラムです。関門汽船のターミナルでの接客、門司港発祥の焼きカレーづくり、関門海峡を渡る船の動きを見守る「海の管制官」、手旗信号でメッセージを送る「船員」——全15プログラム、10の事業者が参加し、2日間で延べ約400名の子どもたちが門司港ならではの仕事を体験しました。

通常のキッザニアとの最大の違いは、体験の舞台がすべて地域の実際の現場であることです。子どもたちは仕事を通じて、観光客の安全を守る仕事、旅の思い出をつくる仕事、海峡のインフラを支える仕事など、自分のまちにどんな仕事があるのかを身をもって知ります。門司港を好きになる気持ち、地域の社会や文化を大切に思う気持ちを未来につなげる。それが、このプログラムの目的です。

教育機関との連携

関門DMOでは、小学校から短期大学まで、さまざまな教育段階で地域の観光や産業について学ぶ授業・講義に協力しています。年齢や段階に応じてテーマは異なりますが、共通しているのは「自分の地域を知り、自分の視点で考える」という姿勢です。小学生は地域の魅力を発見し、高校生はまちの未来を考え、短大生は観光を仕事として捉える。それぞれの段階での気づきが、関門海峡を「私の故郷」と自信を持って言える人を育てていくと考えています。